少年日記

<行商ばあちゃん編>
やぁ!
オイラ、モガの村からトーちゃんと魚を売りに船でやってきたんダ!
トーちゃんが仕事してる間は、港で遊んだり釣りして待ってんのサ!
待っている間、暇だから港をブラブラしてみたんダ!
今日も重たそうな荷物を抱えて商いをしている行商ばあちゃんがいたから話掛けてみたんダ!
「やぁ!ばあちゃん、なんでいつもその荷物背負ったままなのサ?」
「は?商売道具おっぴろげてただ黙って座っでだら、ただのひやかししか来ない普通の店と変わんねぇでねぇがっ」
「えっ?!」
「重い荷物を背負っで悲壮感出しでだら、何か買ってお婆さんの荷物を軽くしてやろうがなって気になるでねぇが?」
「えぇっ?!」
「自分よりも不幸そうな人を見だらば何がしてあげでぇなって思う深層心理を利用した一つの商法なんだからのぉ」
「・・・・・・」
「・・・・・・、まぁ、坊やも大人になったら分がるだろうさ、商売の難すさや世間ってものをね」
「・・・・・・」
オイラ・・・、触れてはいけない何かに触れてしまったのかナ・・・。
いくら純粋無垢なオイラでも分かるんダ!
行商ばあちゃんは、心のどこかに何かしらの深い闇を抱えているってサ・・・。
今日の出来事は、オイラの胸の奥にそっとしまっておくヨ!